stoicのポケモンGBAメモ帳(二)

ポケモン第二世代、第三世代について主に考察するブログ。

環境の多様性を調べる

先日、蟹が「2014~16あたりと比べると、ここ最近の城ではかなり色んなパーティが使われるようになった」
というような趣旨のことを言っていた。
これを読んで「本当かな?調べてみたい」と思ったのだが、いきなり大きな壁にぶち当たった。


それは、パーティの多様性をどう定義すればいいのかわからないということである。
そこで、ずっと単純な指標ではあるが、「環境に参戦しているキャラの多様性」を調べることにした。
これなら、手持ちの統計データを使って簡単に算出できる。
話の発端である「パーティの多様性」とは似て非なる概念であることに注意。
またあくまで今回のデータは大会のKPであって、野試合(一般的にはより変なキャラとかが使われやすい)のデータではないことにも留意。
※過去ログサイトが生きていたら、野試合の解析もできるのだが・・・
ただし、基本的に大会の環境は野試合の環境のミニチュア版と考えられるので、大会で見られた変化は野試合にも通用すると思ってもよさそうだ。

多様性をどうやって調べるかだが、以下のような方法を取った。

1.元データの用意
各年について、開催された大会のKPを以前まとめた。
今回はこのデータで、2014年~2018年にかけて1年区切りで調べることにした。
なお、2018年に関しては、影さん生誕祭、蟹杯6も付け加えている。

2.解析(というほどのこともないグラフ作り)
まず、それぞれの年についてKPから算出した出現率を、値の大きい順に並べ替えた。
次に、これを順に積算していった。

例1:カビゴン0.5、パルシェン0.3、ナッシー0.2、サンダー0.4の場合
カビゴン・サンダー・パルシェン・ナッシー に並べ替え、足しあげる
→1種族目で0.5、2種族目で0.9、3種族目で1.2、4種族目で1.5

例2:カビゴン0.1、パルシェン0.9、ナッシー0.2、サンダー0.4の場合
パルシェン・サンダー・ナッシー・カビゴン に並べ替え、足しあげる
→1種族目で0.9、2種族目で1.3、3種族目で1.5、4種族目で1.6

この積算値をY軸にとり、X軸に積算した種族数をとって折れ線グラフに描画してやると、上に凸の形状をした折れ線が描ける。
この折れ線は、傾きが大きければ、出現個体の多様性が低いと解釈でき、
(例:全員同じ見た目のパーティなら、折れ線は(Xが0~6の範囲で)Y=Xの直線に重なる)
逆に傾きが小さければ、出現個体の多様性が高いと言える。
(例:100種族が均等に使われたら、折れ線はY=6/100*Xの直線に重なる)
この折れ線を2014~2018年について作ってみた。

3.結果

すぐわかることとしては、
・2017、2018年は多様性が低い。
・2014年はここ5年で多様性が一番高い。
・2015、2016年はその中間くらいである。

つまり、大会参戦キャラの多様性は、ここ5年間で増えてはおらず、むしろやや減り気味であるということがわかった。
ちなみに、もう少し突っ込んだ議論をしたければ、例えばそれぞれのグラフの細かい形状(傾きの変化など)に注目することもできそうだ。
なお、この変化が有意かどうかの検証はしていない。
元データ欲しい人は言ってください。

<「パーティの多様性」をどう考えるか>
ここから本題かもしれない。
「パーティの多様性」というのは非常に興味深いテーマだが、これを本気で考えようとすると、
課題1:新たにデータを整備しなおす
課題2:パーティの多様性とは何かを定義する
といった作業が必要になる。

課題1は、まぁ力技なり詳しい人がマクロを組むなりで済む。
最新世代に関しては基礎データがばっちり出てるのがすごく羨ましいところで、もっと解析ガンガンするといいと思う。
最新(というかPGL登場以降)世代での研究例としては、ググったらこんなのが出てきた。
【ORAS】PGLにおけるポケモンの関係性を可視化した
他にもあるんだろうか。詳しい人教えてください

恐らくだが、構築6体を全部並べたデータがあればこんな解析はやはり金銀でも可能になる。
しかし、こういった解析は基本的に特定のブラックボックスに対してデータを放り投げるもので、データの解釈は人間が行う必要がある。
従って、課題2に関しては全く解決していない。
また少なくとも、今回行う解析だけでは、パーティの多様性を見るには明らかに不十分である。

例えば、構築を10個集めたとき、参戦キャラが、
カビゴンパルシェン・サンダー・ミルタンクバンギラススイクン
フーディン・ナッシー・フシギバナ・カイリキー・ハピナスエアームド
この12種族で、それぞれのKPが5だったとしよう。

このとき、元データが実際には
サンダータンク×5と王パ×5
みたいな超偏った編成だとしても、
サンダーバンギWAやフーディンSA、カビパ等々が混在
していたとしても、今回の解析方法では同じ折れ線が描かれてしまう。

yasuさんともちょっと話したのだが、彼が少しやってみているように、
「エースごとに構築コンセプトを分類し(この段階でエースの多様性は出せる)、それぞれに対して解析をする」
というのが、とくに金銀の場合は一つ有効なアプローチになりそうではある。